【ジープで燃費20km/L!】優等生7人乗りジープ「コマンダー」の人気の理由とは?

【ジープで燃費20km/L!】優等生7人乗りジープ「コマンダー」の人気の理由とは?

2024年6月4日

空前のアウトドアブームが続いている日本において、人気がある輸入車とは? そんな質問をされると真っ先に思い浮かべるのは「ジープ」という人は案外多いのかもしれません。ブランドのアイコンとして大人気の「ラングラー」は、本格クロカン4WDモデルであるにも関わらず、ブランド内だけでなくグループ会社ステランティスのなかでも1番の稼ぎ頭になりました。最近では、驚異的な残価率でも有名な車種の1台として知られるようにもなっています。

■3列シートのミドルサイズジープ

そんなジープに、ラングラーとはひと味違う使い勝手が抜群で燃費もいい優等生なモデルがあることはご存知でしょうか? それが今回紹介する「コマンダー」です。ジープのクールなアメリカンSUVデザインで、優等生的な性能も兼ね備えてる? そんな虫のいい話があるのかと疑いたくなるほどの性能を持っているクルマなのです。

現行コマンダーは、2022年に日本で販売を開始したミドルサイズSUV。フラッグシップモデルのグランドチェロキーにも似た上質なエクステリアデザイン、ジープらしい卓越した悪路走破性、3列7人乗り仕様、そしてブランド唯一のディーゼルエンジン搭載モデルといった特徴を持っています。

日本市場ではまだまだ希少な3列シートSUVでありながら、そこまで大きくないボディサイズも相まって、ブランド内ではラングラー、レネゲードに次ぐ3位の販売台数を誇るコマンダー。その人気の秘密は、どうやら前述の特徴だけではなさそうです。今回の試乗ではっきりとした、コマンダーの魅力をお届けします。

■1.8トンのSUVとは思えない燃費性能!

人気の理由として大きなウエイトを占めていると思われる特徴は、なんといってもディーゼルエンジンによる燃費性能でしょう。ガソリンや軽油の燃料費が高騰するにつれ、昨今燃費のいいクルマは再注目されています。特にハイブリッドカーやクリーンディーゼルに人気が集まりがちですが、コマンダーはジープブランドで唯一のディーゼルエンジン搭載モデル。当然燃費もいいに違いないと思い、早速高速道路で西へ向かいました。

ディーゼルエンジンの燃費の良さがもっとも生かされるのは、やはり高速道路でのロングドライブ。それも、大型トラックの速度に合わせて走るのが一番燃費が伸びます。燃費計測は平日の夕方に東京を出発し、夜中に愛知県へ着く時間帯で走行。豊川ICまでの約250kmでテストしました。結果は、なんと大台を超える20.5km/L。カタログ数値ではWLTCの高速道路モードでも17.3km/Lですから、カタログ数値を軽く超えてきました。クリーンディーゼル恐るべしです。

フィアット系の2.0Lディーゼルターボは、170ps/350Nmというスペック。最大トルクの350Nmは1750~2500rpmで発生しますので、巡航がとても楽でした。前走車との距離をキープするACC(アダプティブクルーズコントロール)ももちろん備えていますので、ちょっと足を休ませたい時にも便利。ロングツーリングが得意なSUVだといえるでしょう。

ミドルサイズといえど車両重量が1870kgと、なかなか重量級のコマンダー。一般道での燃費は少し落ちてしまいます。カタログ数値ではWLTCモードで14.4km/Lとなっていますが、12~13km/Lくらいが実走燃費でした。全長4770mm、全幅1870mmと日本の道路では狭く感じる場面もあるような大きさのボディで、走行中に不満は一切感じられないパワフルな動力性能を持ち合わせていますので、このくらいの燃費なら合格点かもしれません。

■3列ならではのユーティリティ

3列シートの7人乗り仕様という点も、コマンダーの大きな特徴です。7人乗れるという点ももちろん大きなメリットですが、アウトドアの趣味などで役立つのは積載能力かもしれません。サードシートはフロア収納式を採用し、格納するとほぼフラットなラゲッジルームが現れます。

そして、もっと荷室を拡大したいときにはセカンドシートも倒すことが可能。フロアは2列目を倒してもほぼフラットで、非常に使い勝手がよくできています。3列目は5:5、2列目は6:4の左右分割で倒すことができますので、長尺物を積むときにも便利です。

サードシート自体のユーティリティに関しては、ミニバンと比較すれば構造上3列目への乗降は不便ですが、長距離を移動しないのであれば問題ない広さが確保されています。身長160cmくらいまでの人であれば、窮屈な思いをすることもないでしょう。

■最新ジープならではのクオリティ

ミドルサイズSUVで販売価格が600万円クラスですから、それなりに上質感を求めたくなります。しかし、乗り込んですぐにわかる上質感がコマンダーには備わっています。このあたりも人気の理由のひとつといえるでしょう。シートやダッシュボードにはレザーが使用され、そのクオリティはフラッグシップモデルのグランドチェロキーに勝るとも劣らないほど。

限定車や特別仕様車などの設定を除けば、日本での販売はリミテッドの1グレード展開。オプションをほぼ選ぶ必要がないくらいのフル装備状態で販売されています。ADAS(先進運転支援システム)ももちろん装備。ACC(アダプティブクルーズコントロール)を使えば高速道路の移動も劇的に楽になります。そんなコマンダーのいいところばかりを取り上げてきましたが、欠点がないわけではありません。

これは私の感覚なので絶対ではないのですが、乗り心地に落ち着きがあまり感じられないかもしれません。ゆったりというよりも、どちらかといえばピョコピョコ跳ねるような乗り味なので、気になる人は気になるでしょう。しかし、決してクルマ酔いするとか深刻なレベルではありません。気になる人にはというレベルですので、大きな欠点とはいえないでしょう。

それよりも、所有するメリットのほうが大きく感じられるであろう、ジープの最小7シーターSUVであるコマンダー。ボディの大きさからすれば、ジープならではの魅力を味わうための日本では最適なモデルなのかもしれません。24年5月には、よりプレミアムな仕様の限定車「オーバーランド」も登場しています。800万円クラスにまで上がってしまったラングラーとはまた違った普通に使いやすく乗りやすいジープ車ですので、広くオススメできる1台だといえます。

<文&写真=青山朋弘>


ジープ コマンダー 主要諸元

■リミテッド(4WD・9速AT) 
【寸法・重量】
全長:4770㎜
全幅:1860㎜
全高:1730㎜
ホイールベース:2780㎜
トレッド:前1580/後1590㎜
車両重量:1870㎏
乗車定員:7人

【エンジン・性能】
型式:46344732
種類:直4DOHCディーゼルターボ
総排気量:1956cc
ボア×ストローク:83.0×90.4㎜
最高出力:125kW(170ps)/3750rpm
最大トルク:350Nm(35.7㎏m)/3600rpm
使用燃料・タンク容量:軽油・60ℓ
WLTCモード燃費:14.4㎞/ℓ
最小回転半径:5.8m

【諸装置】
サスペンション:前ストラット/後マルチリンク
ブレーキ:前Vディスク/後ディスク
タイヤ:前後235/55R18

【価格】
597万円(消費税率10%込み)


この記事を書いた人

TomohiroAoyama

青山朋弘

新車専門誌、中古車専門誌、モータースポーツ誌などの編集部を経て、
現在はフリーランスの編集&ライター。
自動車専門誌やWebサイトに寄稿しながら、YouTube動画の撮影・編集も行う。
愛車は10年前に走行5万kmで見つけた、NA型ロードスターの初期型。
趣味のMTBをどうやって積むのがいいか、常に試行錯誤している。

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